ITサポートの現場にとって、今週は「変化」への対応が問われる1週間でした。大手クラウドサービスのUI(操作画面)にAIが本格実装され、長年親しまれてきたメニュー配置が大きく変わったためです。
ユーザーから届く「画面が壊れた」「設定が消えた」という声。これらは故障ではなく、ユーザーの「昨日と同じはずだ」という強い思い込みから生まれる不安です。この不安を否定せず、新しい仕様へスムーズに誘うためのテクニックをご紹介します。
1. 「IT用語」を「日常のイメージ」に翻訳する
「UI(ユーザーインターフェース)の刷新」と言ってもピンとこない方には、「オフィスの模様替え」に例えてみましょう。
翻訳前: 「UIのアップデートにより、メニューがサイドバーに統合されました」
翻訳後: 「使い勝手を良くするために、オフィスの引き出しの配置を整理したような状態です。よく使う道具(機能)が、より手に取りやすい場所にまとまりましたよ」
2. 顧客の「思い込み」に寄り添う“角の立たない”言い換え
「ボタンがない!」と焦るお客様に、正論(仕様変更です)をぶつけるのは逆効果です。
× NG表現: 「故障ではなく、仕様変更です。お知らせを読んでください」
◎ 言い換え: 「驚かれましたよね。私も最初、配置が変わっていて一瞬探してしまいました。実は今回、AIが賢くなって、より便利な場所に“お引っ越し”したんです。一緒に新しい場所を確認してみましょう」
ポイント: 担当者も「最初は戸惑った」と共感を示すことで、お客様の心理的ハードルを下げ、共に解決へ向かう「伴走者」の立ち位置を確保します。
3. 「不具合」という言葉を「最適化」へ
「前のほうが良かった」という不満に対しては、「不便になった」という思い込みを「これからの標準」へと塗り替える視点を提供します。
◎ 言い換え: 「以前の手順に慣れていると、少しお手間に感じますよね。ただ、この新しい形に慣れていただくと、将来的にAIが操作を先回りして助けてくれるようになるための土台なんです」
まとめ
ITサポートの本質は、システムの修理だけではありません。ユーザーの「昨日までの常識」と「今日の最新技術」の間にあるギャップを、言葉で埋める作業です。お客様の思い込みを「間違い」として正すのではなく、「変化への驚き」として受け止める。その一歩が、信頼されるサポートへの近道となります。


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